VOL.75夏休みの反省会(2)

場合の数数の性質


「夏を制するものは受験を制す」「夏は入試の天王山」なんてことがよく言われますが、皆さんの夏はいかがでしたでしょうか。
過ぎてしまったものをあれこれ言っても仕方ありませんし、満足のいく勉強ができたからといって合格の保証があるわけでもありません。
夏頑張れた受験生は少し有利な状況にあり、不本意だった受験生は若干苦しくなったという程度だと思います。
要はこれから試験当日までの頑張り次第ということです。
そこで、「夏休み達成度チェックシート」を利用して夏を客観的に振り返り、それを秋以降に活かすのがお勧めになります。
前向きに頑張っていきましょう。

◎夏休みの反省会(2)
今回はDさん(小6女子Sさんのお母さん)がきてくれました。

Dさんこんにちは。さっそく娘の書いた「夏休み達成度チェックシート」を見てください。

Sさんの書いた「夏休み達成度チェックシート」(クリックすると開きます)

金田Dさんの娘さんも自分に厳しいタイプですか。62点とは辛いですね。
夏休みは復習が大切なので、①が9割できていれば90点でもよいぐらいなんです。
少し配点を変えてみましょうか。
①60点 ②10点 ③10点 ④10点 ⑤10点
とするとSさんの得点は、
①54点 ②7点 ③8点 ④2点 ⑤5点
で合計76点となり、こちらの方が復習を第一の目標とした夏休みの評価としては本物のような気がします。

「夏休み達成度チェックシート<復習重視>」(クリックすると開きます)

金田さて、復習は十分にできたということですが、成果は出ていますか。

Dさんそれが、先日の塾の復習テストではミスを連発してしまい、満足のいく点数ではありませんでした。ちなみに家に帰ってから解きなおしてみるとほとんど正解できてました。

金田夏休みに復習を十分にやったはずなのに、テストで点数を取れないということはよくあります。様々な原因が考えられますのでみていきましょう。

①わかったつもりだが実は本質的な理解が不十分(理解不足)。②一応理解できているが、いざ自分で解こうとすると解けなくなってしまう(演習不足)。③典型的な問題は解けるがほんの少しパターンから外れるとどうしたらよいかわからなくなる(応用力不足)。④よい点数を取ろうと(速く解こうと)するあまり気持ちが焦ってしまいミスがでる(気持ちのコントロールができていない)。⑤夏に頑張りすぎて体調が思わしくない・意欲がわかない(オーバーワーク)。⑥頑張っても結果が出ないため気持ちが切れた(諦め)。

金田これで全てではないですがよくあるものは上の6つになります。Dさんの娘さんはどれに当てはまりそうですか。

Dさん③と④と⑤だと思います。

金田まず③の対策ですが、秋以降は過去問を多く解くことになるので、それを応用問題への対策とすることも可能です。
大切なのは基本の理解と、基本問題を素早く正確に解けるようにする、つまり完成度を高めておくことです。
その上で「応用問題」が
「階層型(基本的な考え方を深めたもの)」なのか
「複合型(複数の基本を組み合わせたもの)」なのか
「飛躍型(基本的な考え方から飛躍したもの)」なのか
を見抜けるように経験を積むことが大切です。その際、
「自分の頭で考える」「手を動かす」「簡単に諦めない」といったことを実践すると応用問題に強くなります。
続いて④はまず親が過度のプレッシャーをかけないことが重要です。
そのためには「テストの結果が悪くても叱らない」ように気をつけてください。
結果がでなくて一番辛いのは本人です。
そこに追い討ちをかけるのはさすがに酷だと思います。
やる気がない場合に活を入れるのはよいと思いますが、まじめに頑張っている受験生に対しては、その頑張りそのものを評価してあげてください。
また、作業は適正な速度を超えると必ずミスが起きます。ミスが起きると作業時間は大幅に伸びるので、速度厳守が基本です。
なので、「計算等はゆったりやりましょう」とアドバイスしています。
ただ、本当にゆったり解くためには「ゆったり解いても間に合う」という自信が必要です。
そのためには「問題文を読む」⇒「解法をイメージする」という流れの「⇒」の部分の反応を速くする必要があります。
実はこれも「基本の完成度を高める」ことで獲得できるのです。
Dさんの娘さんの場合、夏休みにやったことの方向性は良かったと思います。
基本の完成度がやや足りていなかったので、テストの点数には結びつかない部分があったかもしれませんが、秋以降「基本の完成度」に磨きをかければ、それに伴って得点力もアップすると考えられます。
問題は⑤だと思うのですが、体調を崩してしまったのか、それとも意欲が減退してしまったのか、どちらですか。

Dさん意欲はあるのですが、風邪気味のような状態がずっと続いています。

金田当たり前ですが、お医者さんに診てもらってください。
また休むべき時は思い切って休むべきです。
体調が悪いと勉強の効率が落ちるので、まずは治すことを優先してください。
注意して欲しいのは秋以降も睡眠時間は削らないことです。
まして、夏に体調を崩しているわけですから休養を多めにとっても良いぐらいです。
それと、調子には波というものがありますから、9月、10月あたりは調子が下がっているぐらいでちょうど良いと考えてください。
11月、12月と調子を上げていき本番で絶好調というのが理想ですから。

Dさんわかりました。
秋以降は基本の完成度を高めることを意識しながら、過去問演習を頑張りたいと思います。

金田早く元気になってください。

※①、②、⑥の対策
①基本の理解は一番大切なので、理解が不十分なうちは何回でも繰り返してください。
私の経験では4~5回繰り返すことで、ガラッと変わることが多いです。
②こちらは「量」が必要です。
頭ではわかっているのに問題を解くと不正解という現象は「割合」でよくあります。
これを解消するには「ドリル」のような問題をある程度の量こなす必要があるでしょう。

*①は全体像の把握と今やっていることの位置づけが大切ですが、②は理屈ではなく体に覚えこませるような感覚で取り組むことが大切です。

⑥諦めたら終わりです。できればその前に手を打ちたい。
もし諦めかけているということでしたらなんとかなるかもしれません。
・初心に帰る(第一志望への思いの確認)
・目標の再設定(志望校の変更)
これらが効果があることもあります。

気持ちが切れそうなときこそ周りの大人の支えが必要です。
当然我々も力になれるはずです。
何かおかしいと感じたらどんな些細なことでもかまわないので、指導者に相談することをおすすめします。

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今週の基本2題数の性質 場合の数

難易度★★★☆☆

  1. 名門君は「平方数の和の公式」を本で読みました。
    1番目からN番目までの平方数の和、すなわち
    1×1+2×2+3×3+4×4+5×5+・・・+N×N

    N×(N+1)×(2×N+1) … ①
    で求められるというものです。
    名門君がいくつかやってみたところ、確かにこの公式は成り立っているようでした。
    ここで名門君にある疑問が浮かびました。
    「和は整数になるはずだ。6で割っているのに、なぜ必ず整数になるのだろう」
    Nが整数のとき、①の式が必ず整数になることを説明してください。
  2. ある商店街でくじ引きをやっています。
    ガラポン抽選機の中には白玉100個、赤玉100個が入っていて、1回引くごとに、出た玉は元に戻します。
    (つまり、毎回白玉が出る確率が 1 2  )
    このくじのルールは
    ①白玉が出たら500円の商品券をもらって、そこで終了
    ②赤玉が出たら100円の商品券をもらって、またくじを引き直す
    運が良ければ、10回、20回とくじを引き続けることも可能です。
    さて、このくじを大勢の人が引くと、当たった商品券の一人あたりの金額の平均がある金額に近づくと考えられるのですが、それはいくらでしょうか。
    考え方とともに答えてください。
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プロフィール

プロフィール

執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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