VOL.15速さ(1)
このブログの目玉である『今週の1題』は全て私のオリジナルです。
問題を作成する際、なるべく過去に出題されたものの数値替にならないよう気をつけています。
ただ、完全に新しい問題を作るのは難しいですし、カリキュラムに沿った問題を出すという趣旨からも外れてしまうので、参考にする問題があることが多いです。
前回(ブログvol.14<6/16号>)の問題ですが、今年の麻布で出題された砂糖水の問題と出題の狙いが似ていると感じました。
これは意図したものでなく、問題が出来上がってしばらくしてから麻布の問題を思い出し、そこで初めて気づいたのです。
両問は全然違う設定ですから、似ているとは思わないのが普通ですが、『濃度の問題であるが、整数問題の要素(互いに素など)が強い』という意味で似ているのです。
算数の『力』をベースに問題を解く場合は『似ている』と感じる範囲が広いほうが有利になります。
似ている問題は解法も似ている部分があるはずなので、それを使える分だけ正解に近づくわけです。
厳選した基本をしっかり身につけ、それを運用する『力』をつけておけば、解ける問題の範囲が広くなります。
今回のテーマは『速さ』です。まずはワンポイントアドバイスから。
速さと比 | 旅人算で解くよりも比を使った方が楽なケースが多いです。また、逆比の利用は頻出なので、いつでも使えるようにスタンバイしておきましょう。 |
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同時に着く(着かない) | 複数の人間を目的地まで運ぶため、一部の人を乗り物に乗せある程度進んでから途中でおろし、残りの人を迎えに行くような問題です。なぜその解法で良いのかを理解するにはグラフが分かりやすいですが、解く際は線分図が良いでしょう。 |
往復の出会い | 二人が離れた2地点を同時にスタートして往復する場合、最初に出会ってから2度目に出会うまでにかかる時間はスタートしてから最初に出会うまでの時間の2倍になります(記憶しましょう)。また、3度目以降もかかる時間は2倍で一定です。 |
休みがあるケース | 丁寧に調べるのが基本です。節目ごとに位置関係を把握する必要があることもあります。周期がある場合はそれをうまく利用しましょう。 |
くるった時計 | Vol.2でも書きましたが、まずは速さの比をはっきりさせましょう。 |
算数はいくつか難所がありまして、そこで躓くとそこから先が苦しくなる傾向にあります。
まずは『分数』。続いて『割合』。そして3つめが『速さ』ではないでしょうか。
『速さ』を苦手にする生徒は確かに多いので、その原因をよく考えるのですが、ひとつ最初の切り口を間違えるということがあります。
考え方の方向が違ってしまうとなかなか修正は困難です。
ではそれを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
結論から言うと『センスを磨く』ということになると思います。
問題を解いて力をつけるのですが、その際、なるべく考え方の方向を間違えないように気をつけます。
うまくいったものは残し、失敗したものは修正する、ということを繰り返し、効率を上げていくのです。
ここでも最初に述べた『似ている』ということが活かされます。
似た問題の考え方を活かせば、正しい方向の可能性が高くなります。
『速さ』は確かに難問も多いですが、やればできるようになると言われています。
頑張り甲斐がある分野ですからしっかりと取り組みましょう。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題速さ
難易度★★★☆☆
3組の男女6人のグループが1台のタクシーを使って31.33km離れているA地からB地まで行きました。
はじめ男子は歩き、女子はタクシーに乗って出発しました。
タクシーは途中のC地で女子を降ろした後引き返し、歩いている男子をD地で乗せ、そこからB地に向かいました。このとき、C地にタクシーが着いてから1分後に、女子とタクシーは同時にC地を出発しました。また、D地にタクシーが着いて1分後に、タクシーは男子を乗せて出発しました。
その後6人は同時にB地に着きました。
人の歩く速さ、タクシーの速さはそれぞれ一定で毎時3.6km、毎時46.8kmです。
(1)A地から出発した男子が、このタクシーよりも1分後に出発した時速46.8kmの車に追いつかれるのは、A地から何mのところですか。
(2)このグループがA地を出発してからB地に着くまで何時間何分何秒かかりましたか。
解答が表示されます