VOL.68【ミニ講座】(1)素数 (2)消去算
今回からしばらくは「今週の1題」に変えて、「今週の基本2題」として「2つの分野の基本問題」を出題したいと思います。
「夏休み」というまとまった勉強時間が確保できるタイミングで「基本の完成」を目指すべきであるということは、このブログでも何回か言ってきました。
そこで、「基本の完成」のチェック用の問題を用意することにしました。
前回、「今週の1題で算数の力をつけて下さい」と書いたばかりで恐縮ですが、秋以降に期待してください。
また、それに合わせブログの内容も【ミニ講座】にしたいと思います。
各分野からひとつずつ、私がよく授業で取り上げる内容を再現していきます。
それでは【ミニ講座】のスタートです。
◎【ミニ講座】(1) 素数
数の性質では様々なことを学びます。
倍数・約数や奇数・偶数、素因数分解等、まずは知識の充実が肝心です。
その中で少し厄介なのが「素数」だと思います。
いまだに「素数」の現れ方の法則は解明されていないわけで、小学生にとっては理解しにくいのは当然だと思います。
今回は素数かどうかの簡単なチェック法を解説したいと思います。
〈表1〉
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40
上の〈表1〉は11~40までの30個の整数を3段に書き入れたものです。
素数を小さいものから順番に3つあげると「2、3、5」ですが、その3つの最小公倍数は「30」です。
〈表1〉はまず、「2の倍数」を赤で塗りました。
ついで、残っているものの中の「3の倍数」を青で塗りました。
最後に、残っているものの中の「5の倍数」を黄色で塗りました。
残っている{11,13,17,19,23,29,31,37}は素数です。
今回は特に「一の位」に着目します。
「2、3、5」の倍数ではない整数の「1の位」は30個おきにこの並びになっていることに気づくと思います。
ですから41以上の素数候補は11~37までの素数の並び方と同じです。つまり
{41,43,47,49,53,59,61,67}
が素数の候補となります。
ただし、5の次の素数である「7の倍数」かどうかの確認はしなければなりません。
その結果「49」は脱落となります。
これは71以降にも当てはまりますが「120」以下は7の倍数かどうかだけのチェックで素数かどうかを判断できます。
「168」以下はこれに11が加わり、「288」以下はさらに13が加わります。
覚えておくと便利なのは「4,2,2」です。
これはサッカーのフォーメーションではありませんよ。
10台の素数は4つ、20台は2つ、30台も2つです。
それ以降も40台の素数候補は4つ(素数は3つ)、50台は2つ、60台も2つです。
このことは30おきにずっと続くので素数かどうかの判断の役に立つと思います。
◎【ミニ講座】(2) 消去算
私はよく「困った時は消去算」と教えています。
この言葉は何を意味しているかというと、「消去算」を使えば大抵の問題は解けるということです。
また、世の中には中学受験の文章題は全て「消去算(方程式)」で解けば良いという考え方もあるようです。
この考え方には私は賛成できませんが・・・
消去算は式さえ立てば後は式の扱いの問題なので、マスターすればかなり大きな武器になることでしょう。
式をいくつ立てれば良いかというのは未知数の個数と関係していて、未知数が2個なら式も2個、3個なら3個となっています。
こういったことは「常識」として頭に入れておくべきですね。
さて、ここで考えなければならないのは以下の2つです。
①「消去算」は万能なので、真っ先に消去算を使って解けば良いのではないか。
②そもそも「消去算」で全て解けるのであるならば、「特殊算」は学ぶ必要などないのではないか。
まず、①ですが、「真っ先に消去算」はやめておいた方が良いと思います。
これは実際に問題を解いてみるとわかりますが、「消去算」は一定の手間がかかります。
特に「速さ」や「濃度」の問題が計算が面倒になることが多いです。
この「面倒な計算」は中学の数学(方程式)で経験することになりますので、何も今やらなくても良いと思いますよ(笑)
試験は「時間との闘い」という側面がありますから、素早く解ける解法を選ばなければなりません。
また、学校側が消去算(方程式)外しをしているケースもあります。
罠に飛び込んでしまうのはまずいですね。
以上より、基本的にはいきなり消去算で解くことはしない方が無難ということになります。
次に②ですが、①の検討からまずいことは明らかです。
①からは「消去算で解く際にかかる時間を基準とし、それより早く解ける解法を身に着けるべきである」という結論が導かれます。
実はそれよりももっと大切なことがあります。
「受験算数」では様々な解法を学びますが、それは「パターンを覚える」ということよりも「考え方そのものを学ぶ」ことの方が重要なのです。
「なんでもかんでも消去算」ではこの「考え方そのものを学ぶ」ことがおろそかになってしまいます。
ですから私は普段の学習では「消去算」は極力「封印」するように生徒に指導しています。
このような背景があり、冒頭の「困った時は消去算」という言葉になっているのです。
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今週の基本2題数の性質・和と差に関する問題
- 1から100までの連続する100個の整数の積を整数Nで何回まで割り切れるかを考えます。
16回まで割り切れるNとして考えられる整数は何個ありますか。
ただしNは100以下とします。 - AとBは何個かずつボールを持っています。
Aが持っているボールの3分の1、Bが持っているボールの3分の1より3個少ないボールをそれぞれ相手に渡したら、AとBの持っているボールの個数の差が12個になりました。
続いて、Aが持っているボールの2分の1、Bが持っているボールの2分の1より3個少ないボールをそれぞれ相手に渡したら、Bの持っているボールの個数が51個になりました。
最初にBが持っていたボールの個数は何個ですか。全て求めてください。
解答が表示されます