VOL.67ニュートン算(2)

ニュートン算


「今週の1題」は入試で出題される可能性がある最高難度の問題と同等かそれ以上を目指して作成しています。
狙いはいろいろあるのですが、そのひとつに「算数の力を育成する」ことがあります。
「算数の力」とはこのブログでも何回か書いていますが、「問題を解く際、それを支える土台となる力」のことです。
別の言い方をすれば、「自分の頭で考える力」ということになります。
この「算数の力」の鍛え方ですが、いろいろ方法はあると思いますが、私は「未知の問題に挑戦する」ことが最善だと考えています。
今は情報化社会なので、どこかの学校で出題された新しい問題も数ヶ月後には受験生にとっては常識になっている可能性があります。
ですから今の受験生は「未知の問題」と出会う機会が減っているかもしれません。
「今週の1題」が「未知の問題」を必要としている受験生の助けになれば幸いです。

今回は、Dさんに来てもらいました。小6女子のお母さんです。

Dさんいよいよ夏休みが近づいてきました。
今日はその相談に伺いました。

金田準備が早いのは良いことです。
夏休みの過ごし方でその後が大きく変わってくることもありますから、準備は入念に行いたいですね。

Dさん初めてのことなので、どうしたら良いかわかりません。
娘は塾に通っているのですが、塾の夏期講習だけで大丈夫なのかという不安があります。

金田この話はそんなに単純ではありません。
娘さんの現在の学力、志望校、塾の授業内容(クラス)、スケジュールなど様々な要素を考慮しなければなりません。
まず最初にチェックすべきは、娘さんの「基本の習熟度」と「苦手分野の有無」です。
なぜこれが最初にくるかと言うと、夏休みに最低限やっておきたいことが、「基本のマスター」と「苦手分野の克服」だからです。
そして、娘さんの状態と塾の授業内容がマッチすれば、夏期講習の効果が大いに期待できるということになります。
例えば、
・基本はある程度までは出来ているが、ほんの少しひねってある問題に対してはまるで歯が立たない。・「速さ」「図形全般」「場合の数」が苦手。というのが娘さんの状態で、塾の夏期講習の授業内容が・基本中の基本はサッと復習し、そこから少し高級な内容を中心に学習する。・苦手とする生徒が多い分野である「速さ」「図形」「場合の数」は苦手解消に向けた授業を行う。といった内容であれば、まさに理想的です。
ただ、実際はこんなに都合よくいくことは稀で、「復習」といいながらも実は全て発展的な問題を扱うなんてこともザラです。
ひとつ言えるのは、塾に行けば算数全体の範囲の問題に触れることはできそう、ということです。
満遍なくやりたい受験生には向いているかもしれません。

Dさん塾の授業に娘がついていけるか、ますます不安になってきました。

金田あと授業の内容で気になるのが、「志望校」の出題傾向とのマッチングです。
特に効果が疑わしいのが、「スピードタイプ」の学校を受ける受験生が「思考力タイプ」の授業を受けるケースです。
もちろん「思考力」を育成することは「算数の力」を上げることにつながるので大いにけっこうなのですが、あまりにもじっくり取り組むと「スピード」が鈍る可能性も出てきます。
いつから志望校に特化するかは難しい問題ですが、夏休み頃から視野に入れておいたほうが良いことは言うまでもないでしょう。

Dさん夏期講習で塾がやることと、娘の現状・志望校は合ってない気がします。
どうしたらよいでしょうか。

金田おすすめは「塾の復習」以外に「自分のための時間」をとることです。
優先順位は人それぞれですから、優先度の高いものは塾でやることと関係なく「自分のために」やるのです。

Dさんその「自分のためにやるもの」が何かよくわからないのですが…

金田それは一言で言えば「基本」です。
「基本」というのは「簡単なこと」というわけではなく、私は「志望校合格に最低限必要な知識とそれを運用する力」であると考えています。
ですから「基本」は人それぞれなんです。
特に「知識」の部分が抜け落ちてしまうと致命傷となりかねないので、「夏休み」の間にしっかりと身につけて欲しいのです。

Dさん娘はコツコツ頑張るほうなので、「知識」はそこそこしっかりしていると思うのですが、「運用する力」のほうは自信がありません。

金田そうですね。
算数はただ覚えるだけでなく、実際に問題を解くことをやらないとなかなか「力」がつきません。
この夏のおすすめは「基本問題」を解きまくることです。
この「基本問題」ですが、「志望校合格に必要なエッセンスを含むシンプルな問題」というのが理想です。
そのような意図で編集された問題集を使用すればある程度目的を達成できることでしょう。

Dさんやることは見えてきました。
あとはその時間がとれるかどうかです。

金田時間の管理はお母さんの仕事かもしれません。
中には自分でできる受験生もいますが、まだ小学生です。大人が管理してあげたほうが確実です。

Dさんしっかり計画を立てて、娘と協力して「基本」を身につけたいと思います。
今日はどうもありがとうございました。

金田頑張ってください。

<ポイント>

  • 塾の勉強だけでうまくいくわけではないことが多い。
    「自分のための勉強時間」を確保すべし。
  • 夏休みは「基本の完成」を目標にする。
    問題演習で「知識」と「運用する力」を身につけよう。
  • 時間の管理はかなり重要。
    基本的には本人任せにせず、大人が管理したほうが無難。

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今週の1題ニュートン算

ニュートン算の問題はVOL.17VOL.29VOL.42にもあります。

難易度★★★★★

ある日、雅山動物園では、開門前に長い行列ができていて、その後も一定の割合で行列に人が加わっていきます。

〈図1〉は券売機の前の様子を図に示したものです。
行列は先頭のラインから1列になっており、券売機が空くと、並んでいた人が券売機の前に移動します。
〈図2〉は券売機を5台使ったときの午前8時ちょうどの様子です。
行列の前から5人は券売機の前に移動し、行列の最後尾には新たに1人が行列に加わります。
また、以下のことがわかっています。

  • 行列には午前8時に1人目が加わり、以後 (あ) 秒おきに1人ずつ人がやってくる。
  • 開門と同時に券売機を6台使うと、午前8時15分44秒に来る人は行列に並ばなければならないが、次に来る人は列に並ぶことなく直接券売機に行ける。
  • 開門と同時に券売機を9台使うと、午前8時9分28秒に来る人は、直接券売機に行けるが、その前に来た人は行列に並ばなければならない。
  • また、発券にかかる時間(券売機の前に人が来てから、次の人がその前に来るまでの時間)は (い) 秒で一定である。

(あ)(い) にはともに整数が入る。
また、発券には最低でも4秒はかかるものとする。

(1) (あ)、(い)に入る整数をそれぞれ求めてください。

(2) 開門と同時に券売機を10台使うと午前何時何分何秒で行列がなくなりますか。
考えられるものをすべて答えてください。

クリックすると
解答が表示されます
<解答>(1)(あ)8 (い)12
    (2)午前8時8分12秒、午前8時8分24秒
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プロフィール

プロフィール

執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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