VOL.64割合(2)
日本は基本的に、南が暖かく北が涼しいわけですが、地形の影響などもあり、山梨や埼玉で気温の高いことがあるという認識は持っていました。
ところが、先日は帯広で今年の全国最高気温を記録しました。
私の中では南北の気温差を逆転できるのはせいぜい関東までというイメージを持っていましたが、その感覚を破壊されましたね。
世の中色々なことが起こります。
常識にとらわれているとどんどん時代から取り残されてしまう恐れがあります。
気をつけなければいけません。
今回は前回のお兄さんに続き、弟さんに来てもらいました。
U君よろしくお願いします。
金田こちらこそよろしくお願いします。
U君先週は兄がお世話になったようで、帰ってきてから物凄い勢いで勉強しています。
僕も勉強のヒントを得られればと思って、ここに来ました。
金田出来る限りアドバイスしますよ。
何か掴んでくれると嬉しいですね。
最近のU君の成績はどうですか。
U君悪くないのですが、横ばい状態です。
志望校にはまだまだ足りない状況です。
金田お兄さんは成績が上がったんですよね。
基本的にはお兄さんと同じ課題に取り組んでいると思うのですが、差がついているのでしょうか。
U君毎回ではないですが、このあいだは偏差値で10以上離されました。
金田算数は当日の出来にも左右されるので何とも言えないですが、基本の習熟度の差が成績の
差としてあらわれているような気がします。
U君それは自分でも感じています。
僕は物事をきっちり丁寧にやるというのが性に合わなくて…。
金田どちらかというと直感に頼るタイプなのかな?
U君そうです。
なので、正答率が低い問題が解けることもある反面、簡単な問題を落とすミスも多く、点数がまとまらないんです。
金田そこまで自分のことが分析できているなら、対策も立てられると思いますよ。
ミスを無くせば良いのでは?
U君それはわかってるんですが、難しいんです。
金田ではU君のミスの原因を探ってみましょう。
私はミスが多いのは「入口」と「出口」が圧倒的に多いと思っています。
「入口」は問題の読み取りの部分です。
「出口」は主に計算して答を出す部分です。
U君は「入口」と「出口」のどちらに問題があると思いますか。
U君正直両方です。でも特にひどいのが「入口」の方かな。
金田なるほど、読み取りの部分の丁寧さが不足している可能性がありますね。
ところで、U君は「割合」の分野は得意ですか。
U君特に苦手意識はありませんが、簡単な問題を間違えることも多いです。
金田なぜ間違えたのか確認はしてますか。
U君解き直しはやってますが、ただ解いてるだけかも。
金田これからはなるべくミスの原因が何だったのかを意識し、次から同じ間違いをしないよう
に「構える」ようにしてください。
U君は野球が好きだそうですが、内野手の守備をイメージしてください。
打球に対して素早く反応できるように姿勢を低くして「構えて」いますよね。
「棒立ち」ではスタートが遅れてしまいます。
算数も同じで、「構える」必要があります。
U君すごく良くわかります。
僕も算数でG軍のS選手のようになるぞ!
金田では話を算数に戻します。
「割合」の問題ですが、「元にする量(1にあたる量)」を間違えたということはありますか。
U君頻繁にというほどではないですが、たまに間違えます。
金田「割合」の基本は「何が基準なのか」なので、そこは間違えてはいけません。
U君は「線分図」をしっかり描いてますか。
U君描いたり描かなかったりです。
金田描かなくても明らかな場合を除き図は描くようにしましょう。
前回も強調しましたが、この「別のものに置き換える」というのが文章題攻略の急所になります。
そして、この「置き換え」でもミスはおきるので、しっかり確認しながら、丁寧に(しかも素早く)作業できるように日ごろから練習しましょう。
U君図を描くことの大切さはわかりました。ただ、「線分図」が良いのか「面積図」が良いの
かを迷うことが多くて…。
金田基本的には「線分図」で十分です。
「線分図」では表現しにくい時は「面積図」で、という2段構えにしておくと安心です。
何でもそうなんですが、「メリット」もあれば「デメリット」もあります。
「面積図」は鮮やかに解けることが多いので人気は高いですが、描くのに手間がかかるという「デメリット」を抱えているので濫用は禁物です。
おすすめは、自分で面積図を描くものを決めておき(【例】「平均」「おもりを沈める水の問題」)、
それ以外は2段構えにしておくというものです。
U君なるほど、基本的には「線分図」を書けば良いのか!
金田そうです。そして経験を積めば判断も正確になっていきます。
私からのアドバイスとして「普段の学習を大切にする」ということを挙げておきます。
要は、今まで話してきたようなことを意識し、どうすればミスが少なくなるのかということを考えながら、自分の「算数」のスタイルを作っていくのが肝心です。
そして自分の「算数」を作る場が「普段の学習」なのです。
U君わかりました。算数界のS選手を目指して頑張ります。
金田はい、頑張ってください。
(発想は天才肌だなぁ。これが算数に活きれば大化けもあるかも・・・。)
<ポイント>
- 同じ課題をこなしていても成果は異なる。特に基本の習熟度の影響が大きい。
- ミスがおきやすいのは「入口」と「出口」。
- 「入口」でのミスは丁寧な読み取りを意識することと、「置き換え」を訓練することで克服する。
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金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題割合
割合の問題はVOL.14、VOL.24、VOL.41にもあります。
難易度★★★★☆
あるお店では、ポイントカードを発行していて、使った現金の5%をポイントとして還元してくれます。
ポイントは次の買い物から1ポイント1円として使うことができます。
例えば、定価100円の商品を買う場合、消費税が8%(小数点以下は切り捨て)かかり、108円となります。
それを現金で払えば、その5%がポイントとしてカードに貯まります。
ポイントも小数点以下は切捨てなので、貯まるポイントは、
108 × 0.05 = 5.4 ⇒ 5Pt
という計算になります。
ある日、名門君がこのお店を訪れたところ、「ポイントアップキャンペーン」を行っていました。
通常は5%還元のところ、その日だけ2倍の10%だということでした。
名門君は前からボールペンが欲しかったので、文房具売り場に行ったところ、
欲しかったボールペンの価格表(〈表1〉)が貼ってありました。
名門君は意を決して、このボールペンを50本買うことにしました。
ただし、使う現金をなるべく少なくするように計算をしてから買いました
また、明日、このボールペンの新色(値段は同じ)が出るので、2本変えるポイントは残しておくようにしました。
問.次の(1)~(4)に入る数字を求めてください。
名門君は(1) 回、同じ額である現金 (2) 円を払って買い物をし、
最後はポイントを(3)Pt使い、現金(4) 円を払ってボールペン50本を手に入れました。
翌日は、残っていたポイントで新色のボールペン2本を買うことができました。
解答が表示されます