VOL.41直前対策(2)
今年はこれが最後です。そして、現6年生向けの内容も最終回とさせていただきます。
直前対策は特に重要なので、細かいところまで色々と書きます。
まずはコンディショニングからです。
〈身体的コンディショニング〉
前回も書きましたが睡眠は十分にとってください。その上で朝型の生活リズムに切り替えるようにしましょう。遅くとも試験開始時刻の2時間前には起きているようにしてください。朝食もしっかり摂ってくださいね。
必然的に就寝時刻も早くなります。ここは親御さんがしっかり管理するようにしてください。
次に気になるのは免疫力の低下です。睡眠を確保することである程度防げますが、ストレスが大敵です。ストレスに関してはこの後の〈精神的コンディショニング〉で詳しく書きます。
今は免疫力を高める機能性食品等もあるようなので、そういったものを摂るという手もあるでしょう。実際の効果とともに、精神的な安定を得られるというメリットもあるかもしれません。
適度な運動も効果があると言われています。勉強の合間に背筋を伸ばすだけでも良いので少し取り入れてみてはいかがでしょうか。
疲労を取ることも重要です。長時間勉強すると脳も疲れます。試験当日は脳がフレッシュな状態が望ましいでしょう。試験前日に15時間勉強するといった無理は避けたほうが無難です。
〈精神的コンディショニング〉
メンタル面をコントロールするのは小学生には難しいところもあるので、まわりの大人のフォローが必要です。特にストレスを溜めると色々な不具合が生じます。この時期に感じるストレスは「入試に失敗する」という不安からきていることが多いので、その不安を払拭することを考えます。
自信を持つこと、あるいは合格や不合格を超越することが有力です。
自信が持てるようになるにはある程度の結果が出なければなりません。今までだと模試で良い点数を取ったり合格の判定が出れば、それが自信になったでしょう。模試がなくなった後は過去問で合格者平均点を上回ったりすると自信がつきます。
また、早い時期の入試で合格をもらうという手もあります。
指導者がいる場合はその指導者の言葉が「自信」につながることがあります。私の経験では、色紙にメッセージを書いただけでガラッと変わったということもありました。まわりの「ポジティブな声掛け」が重要だと思います。
前回も少し書いたのですが、やさしめの問題をサラッと解くことも「出来る」という自信につながります。問題を解くことは脳のトレーニングとしても効果があるので一石二鳥ですね。
「合格や不合格を超越する」とはどういうことでしょうか。これは結果はどちらでも良いという境地に到達するということですね。実際、この境地に達すると合格する可能性が高いです。
合格のプレッシャーから開放され伸び伸びと試験を受けにいく様子を何回か目にしましたが、皆良い表情でいかにも力を発揮できそうでした。結果は言うまでもありません。
実はこの境地に到達して欲しいのは本人よりもむしろ親御さんです。どの学校に進学したかよりもどれだけ頑張れたかの方が重要だと思います。結果よりもその過程が大切だということに気が付けば合格、不合格は小さな問題に思えてくるはずです。やれるだけのことをやったら、あとは温かい気持ちで待っていてあげてください。
明らかに勉強量が足りていない場合等は上記のような心境になることは難しいと思います。どうしてももっとやるように叱ってしまうことが多いでしょう。ただ、直前期に叱ってもストレスばかりが増えて逆効果となってしまうことがほとんどです。そういった場合は我々のような他人が入った方が上手くいくでしょう。
ストレスを軽減する方法として、何も考えなくて良いようにひたすら勉強するという手もあります。この場合、家でやるよりもどこか外でやった方が集中できるようです。自習室等を利用するのが良いでしょう。その際、やることが明確になっている方が取り組みやすいので、1日の計画表を作ります。そこに書いてあることを全部やればその日は終わりというやり方でも良いでしょう。その方が集中できて質が上がるかもしれません。
コンディショニングについて色々と書いてきましたが、規則正しい生活が基本になります。身体的にも精神的にも効果が見込めます。しっかりと計画を立てて試験に向けた準備をしましょう。
次に答案の作り方についてです。
直前期は実際の入試と同じ形式の問題を解く練習が効果的です。制限時間内になるべく多く点数を取る練習ですね。極力本番と同じ気持ちで取り組んでください。ただ、本番と違うのは、練習ですから色々と試せるということです。
どういったことを試すと良いかを列挙します。
①
解答順
ある程度前からやるか。得意分野からやるか。
②
検算を入れるタイミング
答が出た直後にやるか。まとめてやるか。あるいは折衷。
③
正解自信度をメモしておく
例)◎→絶対正解(見直し不要)、〇→ほぼ正解、△→自信なし、×→わからない
④
試験時間の真ん中あたりで全体を見て作戦を立てる
できればこの時点で半分以上に◎がついていることを目指す。そうすれば残りの半分を正解すれば良いことになる。
⑤
問題文にアンダーラインを引く
何をきいているかを明白にする。
⑥
図表グラフ等を書く
見やすく適正なサイズを意識する。どこに書くかも重要。
試験というのは時間を点数に変える作業だと思えばわかりやすいでしょう。上記①から⑥はどれも大切なのですが、点数を増やすという観点から一番効率が良いのは、③の△の問題を◎か〇に変えることです。ですから、④で作戦を立てるというのは「どの△を◎に変えるかの優先度を決める」と言い換えることができます。
この練習を過去問を使って繰り返し、見事第一志望に合格した生徒さんが何人もいます。劇的に点数が上がる可能性があるので参考にしてください。
続いてミスを防ぐにはどうしたら良いかについて考えます。
本番の試験の添削をしたこともあるのですが、やはりミスはあります。三角形の面積を求めるのに÷2をしなかったり、やればできたはずの問題あっさり捨ててしまったりと、ミスの内容も様々です。それぞれのミスについて対策を書きます。
〈計算ミス〉
一番信頼できるのは九九です。足し算は繰り上がりの部分で間違えやすいので、ゆっくりやるようにしましょう。2桁以上同士の掛け算は足し算がからんでくるので慎重にやるべきです。また筆算そのものも目線がそれるので、ミスの可能性が増えます。最悪なのは割り算の筆算なので安易にやらないようにしましょう。割り算は基本的に逆数の掛け算にします。計算量そのものを減らすようにして足し算・引き算をゆっくり(2~3回)やれば計算ミスはほぼ防げるでしょう。
〈何を答えなければならないか〉
問題文にアンダーラインを引いて確認するのが一般的です。あのアンダーラインの意味ですが、答を解答欄に書き込むときにアンダーラインの部分を見てそれで合っているかチェックするということです。むやみやたらに線を引くとあまり意味がなくなってしまいますね。チラッと見て確認するだけでもかなり違いますので、必ず実践するようにしましょう。
〈勘違い〉
問題に書いてあることを勘違いし、間違った捉え方をしてしまうことがあります。勘違いがあると通常は何かおかしなことになることが多いです。何かおかしいと感じたら「問題がおかしいのではなく、自分が間違っている」ということを知ってください。これはほぼ間違いないです。自分が間違っていることがわかれば修正も容易だと思います。
〈見間違い〉
指差し確認が効果的です。実際は指でなく鉛筆の先でなぞるようにします。目だけの時に比べると信頼度が大幅にアップしますので、面倒がらずに必ずやるようにしてください。
〈基本事項の確認〉
公式や基本的な解き方、平方数や三角数等を1度確認しておきましょう。間違いノートのようなものを作っておきそれに目を通すのも良いですね。
代表的なミスの対策を書きました。これらもテスト形式で練習し、自分のものにしてください。
最後に我々の授業について書きます。
私は直前になればなるほど、出題可能性が高い分野を重点的にやるようにしています。なぜならば、直前にやったことは試験会場で覚えている可能性が高く、その分有利になるからです。もちろん最後までヤマを張るよりも算数の実力そのものを上げることを第一にやっていますが、一発逆転を狙ってピンポイントで指導することもあります。直前の授業は1時間1時間が非常に大きいのです。
直前にある程度まとまった時間をいただければ、相当な確率で事前に出題分野を学ぶことができるのでとてもありがたいです。
1年弱の間色々と書いてきましたが、参考にしていただけたでしょうか。受験生の皆さんが入試の当日に十分に力を発揮できることをお祈りし、現6年生向けのブログは最後とさせていただきます。今までお付き合いいただきまして、どうもありがとうございました。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
基本確認の2題
難易度★★☆☆☆
1.
ある品物に仕入れ値の3割の利益を見込んで定価をつけました。仕入れた総数の75%は定価で売れましたが、残りは売れなかったので、1個1000円で売ったところ、全部売れました。最終的に仕入れ値の総額の1割の利益があったとすると、この品物の定価はいくらですか。
2.
〈図1〉は三角形ABCの各頂点と辺上の点を結んだところ、3本の直線が交わっていることを示しています。
BE:EC=7:2、AG:GE=9:1、四角形GECFの面積が17cm2のとき、三角形ABCの面積は何cm2ですか。
解答が表示されます