VOL.213模試の合否判定について
今回は模試の合否判定について考えてみたいと思います。
模試は塾が主催していることが多いですが、模試の合否判定の方法は各塾の企業秘密のようなものかもしれません。
ここで、判定の方法を考えてみます。ここから先は私の推測が含まれますが、少しお付き合いください。
まず、昨年の合否のデータを利用する方法が考えられます。
昨年偏差値60だった10人のうち6人が合格していたのであるならば、偏差値60の合格可能性は60%となります。
去年のデータだけでなく過去数年のものを使用しているかもしれません。
もうひとつ考えられるのは今年の志望動向から合否判定を行うものです。
合否判定を受けるためには志望校を書かなければならないので、その模試を受けた特定の学校を志望している受験生の中でのポジションが明らかになります。
当然上記2つの両方を考慮している可能性もあります。
私の感覚ではこのバランスや、模試の規模、受験生のレベル等により、合否判定の正確さが決まっているように感じています。
少し詳しく見ていきます。
①昨年のデータを利用する場合
例年通りの結果となるような場合は精度が高いのでしょうが、毎年受験者の動向は変化しますからそこには対応できません。
②今年の志望者の中での位置付けから判定する場合
この場合は受験者の「層」に影響を受けます。本当にその学校を受験する受験生が多くいれば精度が上がりますし、逆だと下がると思われます。
③ 受験者数
基本的には受験者が多い方が精度が上がるはずです。ただし、単純な人数だけの問題ではないことを、次に説明したいと思います。
④受験者の層
以前私の生徒さんが「難関校模試」のようなものを受験したら、順位が1位でした。その生徒さんは塾内では平均より少し上という成績だったので、びっくりしたという経験があります。
当然、ほぼ全ての学校で良い判定が出ていましたが、現実は甘くありませんでしした。
やはり、試験本番と同じようなメンバーの中での位置付けによって合否判定を行わないと精度が低くなってしまうと思われます。
⑤模試と受験校の内容の乖離
これがあるので、模試の合否判定はあくまで「参考記録」とするのが正解なのかもしれません。試験問題の内容の違いは、スポーツで言えば「テニス」と「卓球」位の違いが生じるのが中学受験だと思います。
違う種目で判定しても精度が落ちるのは当然でしょう。
問題数、難易度、出題分野等の要素があるので、どうしても乖離が生じてしまいます。
また、模試の場合は点数をばらけさせるために難易度が簡単なものから難しいものまで、段階的にちりばめてあることが多いです。
さらに、思考力を見る問題、特に記述式は模試に出題しにくいといった事情もあります。
⑥学校別模試
上記の④⑤の問題点を解消するものに「学校別模試」があります。
問題をその学校の傾向に合わせて出題するので、その意味では正確な判定ができると思われます。
また、受験者層の問題もほぼ解消されます。
問題点があるとすれば、受験者数がかなり少なくなる傾向にあることが挙げられます。
また、問題が難しくなり過ぎることが多いように感じます。これは、入試問題に難易度を合わせると、まだ仕上がっていない受験生には厳しいということだと思います。平均点が3割程度などザラで、それよりも下がってしまうと模試としての意義がかなり下がってしまいます。
以上見てきたように、受けた模試の合否判定が信頼性のおけるものかどうかは、主々の要素が絡んでくるのでなかなか判断が難しいと思います。
模試の合否判定はあくまで参考記録ととらえるのが良さそうです。
模試の合否判定についてみてきましたが、実は我々も日々合否判定を行っています。
私の場合は主に、学校ごとに越えなければならないラインがあり、それを残りの日数で越えることができるか、という見方をしています。
学校ごとのラインの見極めとその生徒の成長曲線を正しくイメージできるかというあたりに個人差があり、合否判定の精度が変わってきます。
私の合否判定の精度はどうかというと…
自分で言うのもなんですが…
かなり正確(模試よりも?)ですよ。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。