VOL.158【入試問題を解いての感想】 -(13)渋谷教育学園渋谷

入試問題を解いての感想


少し前に女子の偏差値が最上位に達したといったニュースを耳にしましたが、男女ともかなりの難関校であることは間違いないです。

本校は2/5にも試験があるのですが、日程的に最後の頼みの綱になっているようで、できればその前に決着をつける戦略が求められます。

入試問題に関してはオーソドックスな問題の中に、思考力をみるような問題が散りばめられているという印象を受けます。

今年はどんな問題だったのでしょうか。

◎渋谷教育学園渋谷

1小問集合

(1)計算
「分数・小数混合の計算」でした。本校の受験生にとっては標準以下のレベルだったので、正解は必須だったでしょう。

(2)整数問題
人によって感じ方が異なったかもしれません。
5秒で解けた人にとってはラッキーな問題、数分考えた人や間違えた人にとっては序盤の落とし穴だったでしょう。
できればこのような問題は、数秒で答えをだして胸を張れる位に、算数に対する自信を身に着けておきたいですね。

(3)面積 → 円・正方形
よくある問題なので、サッと答えを出したかったですね。
解法はいくつか考えられますがどのルートを選んだとしてもそれほで手間はかからなかったでしょう。

(4)場合の数
3人のさいころの目の出方が何通りかを求める問題でした。
B君の目で場合分けすればスッキリ解決します。
条件を満たすものが少ない割には、間違える可能性が高い問題だったように思います。

(5)食塩水
濃度で考えると面倒なのですが、食塩の重さが等しくなった時が濃さが等しくなった時だと気付けば、計算問題のようなものです。
このレベルを時間をかけずに正解できる受験生が合格レベルにあるということだと思います。

(6)平均
平均の問題は基本的に面積図で解くのが良いと思いますが、この問題は完全にそれを逆手にとっていますね。
四捨五入がからみますが、5人と6人の所持金の範囲からF君の所持金の可能性を求めることができます。
この問題は途中の式・考え方を書くようになっていましたが、厳密な答案の作成は厳しかったでしょう。もしかしたら減点が多かったかもしれません。
本問も無風状態とはいかなかったと思います。

2図形上を2点が移動する問題
(1)は平易なのですが、(2)から頭を使うことになります。
(2)は、2つの正方形の面積を両方とも2等分する直線はそれぞれの正方形の対角線の交点を結んだものであることが常識になっていないとスタートラインに立てない問題でした。
(3)も丁寧に調べる必要があり、図形を意識していないと勘違い等が起きる可能性が高かったと思います。
シンプルな設定なのに差がつきそうな、良く練られた問題だったと思います。

3点字をテーマにした場合の数の問題
解答数が9個ある問題でした。
数字が合っているかそうでないかなので、その意味では厳しい問題だったと思います。
普段から手を動かして、しっかり調べることに慣れていれば完答も可能だったでしょう。
ただ、数え上げる際の方針を自分で決める必要があるというのは小学生には意外とハードルが高いので、5、6問合っていれば御の字だったのかもしれません。
「場合の数」は確かめが効きにくいので、どこかで決断しなければなりません。
「気持ちの強さ」を普段の学習で身につけるようにしましょう。

4回転体の体積を求める問題
(1)は絶対に落とせません。
(2)も似たようなもので、(3)からが勝負と思いきやこれも基本問題に毛が生えた程度でした。
(4)も、少し煩わしい程度で計算ミスさえなければ正解できる問題でした。
本ブログでも取り上げたことのある「ハップス・ギュルダンの定理」を使えばいきなり
45×22×3.14=3108.6(cm2
と求めることもできました。

※ただし、「ハップス・ギュルダンの定理」を使うには以下のような問題点もあります。

①三角形の重心に関する知識がないと使えない

②本問の場合途中式を書かなければならないので、学校側がどのような評価をするか不明。
最低でも読んだ人が納得いくような書き方が求められるだろう。

この定理を使う場合は自己責任ということになってしまうが、答は素早く出ます。

最後の問題でなければ正答率はそこそこ高かったのではないでしょうか。

以上見てきたように、本質的な難易度の割には点数が取りにくい、なかなか厄介な問題であると感じました。

なるべく多く点数を取るためのアドバイスをいくつか挙げておきます。

①解答順に気をつける(自分のスタイルを確立することが大切)
→ 私なら4からやり3が最後。

②(特に序盤で)一つの問題に時間をかけ過ぎない
→ 本年度なら1(2)で手が止まった受験生はすぐに見切りをつけて次にいくべき。

③正解できそうな問題は確実に
→ 確かめが肝心 基本を大切にした学習が全ての源。

難関校といえども「基本」が大切なことには変わりありません。
しっかりと取り組んでいきましょう。

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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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