VOL.142【番外編】 -ベテルギウス-
私の住んでいるところから夜空を見上げても、なかなか星座を認識することはできませんが、冬の星座ではっきりとわかるものがあります。
みんな大好き、オリオン座です。
そのオリオンの右肩にあたる部分の一等星であるベテルギウスが、騒がしいことになっています。
ネット上で「爆発間際」であるとか「第二の太陽出現」、ひどいものになると「人類滅亡?」とまで書かれています。
ひとつひとつ整理していきましょう。
まず、ベテルギウスについてです。
オリオン座α(アルファ)星とも言われ、全天21の一等星の1つです。
おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンとともに冬の大三角を形成している、大変人気が高い星ですね。
地球から642光年離れているとのことですが、これも最近(2008年)改められたようで、現時点で人類がどれほどの精度で恒星までの距離を測れるのか不透明な部分があります。
ベテルギウスと言えば「デカい!」。
いや、「デカすぎる!」
ベテルギウスを太陽系の中心に持ってきたとすると、火星はすっぽり入ってしまい、木星軌道近くまでくるそうです。
想像することが難しい位の大きさです。
太陽を除く恒星の中では見かけの大きさが最大なんですね。
ベテルギウスは明るさが変化する恒星としても有名です。
以前は、なぜ変光するかわかっていなかったと思います。
「双子星ではないか」という記事を読んだ記憶があります。
現在では脈動変光星の半規則型変光星(SRC)に分類されています。
脈動変光星とは膨張と収縮を繰り返すこと、または星の形状が変化することで明るさが変化する星のことです。
赤色超巨星の脈動変光星で規則性があるものがSRC型です。
さて、恒星にも寿命があります。
その寿命は質量によって決まります。
質量の大きい星ほど寿命が短く、太陽が約100憶年とされるのに対し、太陽の10倍の質量を持つ星の一生は約1000万年とのことです。
太陽に比べ、質量が20倍もあるベテルギウスは短命であり(もちろん宇宙のスケールにおいてです)、約900万年前に主系列星の段階に入ったと考えられていることから、いつその一生を終えても不思議ではないらしいのです。
そして、その最後が華々しい!
「超新星爆発」を起こし、半月ほどの明るさで数か月輝き、数年で見えなくなるというのです。
ベテルギウスは4年ほど前からいつ爆発しておかしくないと言われていたように思いますが、昨年末あたりから、1.5等星(通常は0.0~1.3等星の範囲)まで暗くなっていることから、
「超新星爆発の兆候ではないか」
と大騒ぎになっているのです。
個人的には「超新星爆発」をこの目で見てみたいとは思いますが、こればかりはわからないというのが結論のようです。
ベテルギウスがもう間もなく「超新星爆発」を起こすのはほぼ間違いないようなのですが、「間もなく」が天文学の「間もなく」なので(ベテルギウスが誕生1000万年で若い星ですから)1万年後かもしれないし、10万年後かもしれないわけです。
このような曖昧な情報に振り回されて、
「ガンマ線バーストで地球が滅亡するかも」
といった心配をするのはナンセンスですね。
正直、ベテルギウスの話はどれをとっても自分で観測したり、計算したりして納得したものではありません。
人の言っていることをただ鵜呑みにしているだけです。
この文章を書くにあたって、ベテルギウスやその周辺について色々と調べることができたのはよかったと思います。
が、肝心なことを忘れていました。
自分の目で確かめろ!
時間があるとき、夜空を観察したいと思います。
〈金田の独り言〉
算数も同じ。
教わったことを素直に受け入れるのも大切だが、自分自身が納得するまで自分の頭で考えることの方がもっと大切なんだと思う。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。