VOL.126【受験お役立ち情報】 -ワーキングメモリ-
私は「カラオケ」が好きで、よく歌っていました。
ところが約10年前から、一緒に行く仲間がいなくなったことと、新しい曲を覚えるのがしんどくなったので、ほとんど「カラオケ」をしなくなりました。
年に数回歌う機会がありましたが、声の出も悪く、レパートリーもどんどん古くなってきて、ますます足が遠のく結果となりました。
ところが昨年末、ひょんなことから私の中の「カラオケ」が復活しました。
「カラオケ」はまずメロディーを覚え(歌詞も覚えたほうがよいですが、一応モニターに出るので、なんとかなります)、それを「歌う」わけですが、「覚えた後にそれを使った実技」という意味では「算数」に通じるものがあります。
したがって「算数」が得意な私が「カラオケ」の達人なのは当然の結果と言えましょう(冗談です)。
さて、復活後の私ですが、以前よりも進歩したところがありました。
ひとつは「高音」がでるようになったこと。
もうひとつは曲を正確に覚えられるようになったことです。
どちらも年齢的に厳しそうなのですが、結果は以前よりも向上しました。
なぜうまくいったかというと、それは「情報量が増えた」からだと思います。
10年以上前だと、どうしたら「高音」が出るかなんてことは誰も教えてくれませんでしたし、「記憶法」も私の中で確固たるものが形成できていたわけではありませんでした。
それが今は世の中には「情報」が溢れていますし、「記憶法」に関してはこの10年の指導の中でかなり進歩しました。
「情報」で注意をしなければいけないのはそれが必ずしも正しいわけではないことです。
「こうすれば高音が出る」という単純なものならば、やってみて出れば良し、出なければもうやらないという扱いで問題ありません。
しかしこれが「勉強」となると「やってみたけどできるようにならなかった」では洒落になりません。
信頼できる指導者の下で学ぶのが一番でしょう。
「記憶法」はいろいろあるので、何を覚えるかによって使い分けるのが良いと思います。
「カラオケ」の場合は「インプット(聴く)」と「アウトプット(歌う)」のバランスが大切と感じました。
私の場合は「まず完璧に覚えてから」というやり方をすると効率が悪くなりました。
ある程度きちんと聴いたなら早めに歌ってみる方が、結果として早く完成させることができました。
実はこのやり方は「算数」にも当てはまると思います。
ある程度理解したならば、問題を解いてみる。
うまくいけば良し、そうでなければ改善するポイントを押さえて再挑戦する。これを繰り返せば、効率よくコツをつかんでいけるのではないでしょうか。
皆さんは私がどんな歌を歌うかなんてことには興味がないとは思いますが、いま練習している曲のヒントを書いておきます。
「○と○」
※○には動物の名前が入ります。
さて今回の【受験お役立ち情報】は「ワーキングメモリ(working memory)」についてです。
この「ワーキングメモリ」が何かというのはあまり知られていないかもしれません。
比較的新しい概念ですが、簡単に言うと、何かをするときに、「必要な情報を短時間覚えておく」能力のことです。
勉強が極端にできない人はこの「ワーキングメモリ」が低いということがわかってきているようです。
「ワーキングメモリ」が学業成績に影響を与えることは間違いないようです。
少し具体例をみてみましょう。
一般的に、意味のない数字は5個~9個までなら記憶できるそうです。
ということは、5個しか覚えられない人よりも9個覚えられる人のほうが学業成績が良好である傾向があるということですね。
また、この「ワーキングメモリ」はトレーニングによって向上させることができるとされています。
アメリカの大学の研究で、小学生にあたる年齢の生徒に6ヶ月間トレーニングを施したところ、数学能力が伸びたという報告があるそうです。
実際、私個人の経験では、筆算の繰り上がりの時に書く小さなメモをやめてから一皮向けたような気がしています。
また、これは授業でやっていることなのですが、生徒の頭の中にあるものを動かすことを意識しています。
こうすることによって、「ワーキングメモリ」のみならず「頭の回転」も鍛えられると考えています。
さて、ここからが本題です。
受験本番まで4ヶ月あまりとなった今、「ワーキングメモリ」を意識すべきかどうかなのですが、結論から言うと「日々のトレーニング」の中に取り入れることが望ましいと思います。
「ワーキングメモリ」を鍛える方法はいろいろあるようですが、いくつか挙げると
・新曲を覚え歌詞を見ずに歌う
・文章を読み、印象に残った単語を4つ挙げる
・本を読む際、頭の中にイメージをつくる
といったものがあるそうです。
これらをやれといっているわけではありません。
あくまで「算数」ですから、いつもはしっかり「書く」練習をしているところを「頭の中で解く」練習も少し混ぜると良い、という提案です。
その際、イメージを大切にしてください。
例えば頭の中に線分図を描いたり、表を作ってみたりすると良いと思います。
「暗算」も良いトレーニングになりますね。
そして、楽しいことを考えるだけで脳が活性化するらしいので、上記のトレーニングも楽しみながらやれると最高だと思います。
何でもそうなのですが、大切なのは「バランス」です。
しっかり「書く」ことも大切ですが、「頭の中で処理すること」も大切です。
我々もこの「バランス」が崩れないように、しっかりとコントロールしていかなければいけないと考えています。
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