VOL.97【計算名人への道】 -計算の工夫-
前回、「計算名人」になるために必要な能力のひとつが「暗算力」だということを書きました。
「暗算力」を鍛えるためには頭の中で数字を扱う必要があり、その練習として「暗算」をおすすめしました。
今回はもうひとつの重要なテーマ、「計算の工夫」について書きたいと思います。
計算はしなくても良ければそれが一番です。
例えば「100×100」は1の後ろに0を4個つければ良いので特に計算をするということにはなりません。
では「4×5×20×25」はどうでしょうか。
4×5=20
20×20=400
400×25=10000
とやると少し面倒な感じになります。
人によっては「400×25」は筆算するかもしれません。
こういった計算では「100」をつくることを考えます。
4×5×20×25
=(4×25)×(5×20)
=100×100
=10000
とやれば、全て頭のなかで処理できますね。
実は「100×100」を筆算した生徒が過去にいました。
ということはこんな当たり前のことすら塾等では教わっていない可能性があり、上の式のような計算の工夫は直接習うことはほとんどないのかもしれません。
ところが現実は
- 計算の工夫をしないと時間がかかる上にミスの可能性も増える。
- 試験本番では緊張やプレッシャーからミスがでる。
- 算数の1問は配点が高い。
- わすか数点の差で結果が…
という合否を左右する重大なポイントだったりするのです。
ここで少し思い出話をしたいと思います。
私が小学校6年生だったとき、中学受験の計算問題のレベルの高さに驚愕しました。
とても正解できる気がしなかったのですが、そこで諦めたわけではありません。
夏休み前まではどうしたら計算ができるようになるのかをいつも考えていました。
私が良く間違えていたのは繰り上がりのある足し算だったので、そこは徹底的に考えました。
なにを考えたかというと「7+8」がなぜ「15」になるのかというようなことです。
しばらくすると足し算については心配がなくなったので、他の問題について色々と考えました。
その時、思いついたものに
●5(25)を掛けるより2(4)で割って10(100)倍したほうが楽
●0.125は 1 8 に直したほうが楽
●3.14の計算は分配法則の逆を使ってまとめたほうが楽
があったと思います。
これらのことを利用して計算をできるようになった頃から確実に成績が上がったと記憶しています。
もしかしたら私の記憶が間違っているのかもしれませんが、上記のようなことを塾で教わったわけではないということは注目に値すると思います。
つまり、普通に頑張っていても計算の工夫が身につかない可能性が高いということです。
たまたま私が変わり者だったので計算の工夫を自ら編み出しましたが、一般的な受験生はたまに計算の工夫を学ぶときに意識する程度で、普段はそもそも計算の工夫をしようなどとは思っていないことが多いかもしれません。
さて、話を元に戻しましょう。
「計算の工夫」はいくつもあり、それを全て紹介することは本ブログの趣旨ではありません。
本を読むか指導者から教わると良いでしょう。
大切なのは「計算の工夫」をしようと思う「意識」です。
本人がやろうと思わなければ「知識」がいくらあっても無意味です。
そしてこの「意識」の有無がその後の「算数」の成績に大きく関わってくるのです。
その理由はいくつかあり
- 計算が速くなればその分勉強量が増える。
1年間でつく差はかなり大きいだろう。 - 計算の工夫の第一歩は全体を俯瞰することである。
これは大人の姿勢であり、中学受験で求められる能力のひとつである。 - 単純に計算(処理)するより計算の工夫をするほうが頭を使う。
等が考えられます。
私から言わせれば、絶えず「計算の工夫」を「意識」して算数の問題に取り組むことは良いことだらけです。
そしてデメリットもほとんどありません。
強いてあげれば、何か工夫できないかあれこれ考えたが結局普通に筆算したようなケースでしょうか。
しかし、これもあまり深追いしなければ大丈夫なので、経験を積んでいれば失敗することはないでしょう。
結論です。
「計算の工夫」をしましょう。
1日1回で良いので何か工夫をして計算の量を減らし、安易な筆算は極力避けるようにしましょう。
それでは「計算の工夫」のスタートです。
えっ、それはいつからかって?
今からです!!
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今週の1題立体図形
難易度★★★☆☆
1辺が2cmの立方体Pと底面の半径が1cmで高さが2cmの円柱Qがそれぞれたくさんあります。
今、以下の手順で立方体Pと円柱Qを「Pの面である正方形の対角線の交点」と「Qの底面である円の中心」が重なるようにつないでいきます。
<手順>
①立方体Pのあいている面全てに円柱Qをつなぐ。
②円柱Qのあいている円である面全てに立方体Pをつなぐ。
以上、①と②を合わせて「1回分の手順」とします。
最初にPがひとつあり、「1回分の手順」を行うとPが7個、Qが6個になります。
この時、Pの向きが最初の立方体に対して傾いていると次の手順を行うときに問題が生じるので、Pをつなぐ時は全て最初の立方体と同じ向きでつなぐものとします。
(1)最初にPがひとつあり、「3回分の手順」をおこなったとき、体積は何cm3になっていますか。
(2)最初にPがひとつあり、「3回分の手順」をおこなったとき、表面積はcm2になっていますか。
解答が表示されます