VOL.114【受験お役立ち情報】 -夏休みの前までにやっておくこと

受験お役立ち情報


ひと昔前、受験をテーマにした漫画が大ヒットしました。
ドラマ化もされ、今でもそのタイトルを冠した問題集が書店に並んでいます。
内容もしっかりしており、私も教材として使用することがあります。

その続編を最近読んでみました。
前作との違いをしっかりと打ち出しているのが特徴的で、時代が急激に変化していることを感じました。

どういうことかというと、ここ数年で生徒の質が激変しており、前回のやり方そのままではうまくいかない可能性があること。
また、IT等の環境が大きく変化したので、勉強法もそれらを利用したものが可能であること。
そういったことが描かれていたように思います。

前作の数学の先生と自分の指導スタイルを重ねていたりしたので、時代遅れの危機を感じたりもしました。
ただし、人と人の気持ちの触れ合いのようなものがモチベーションに直結する、あるいは普段の生活の延長上に受験があるといった部分は昔も今も変わらないと感じました。

また、今すぐ使えるやり方があったので、ここで紹介したいと思います。
現在の自分の学力を客観的に明らかにする方法です。
以下は中学受験用に私なりにアレンジしたものです。

まず、塾のテスト・模擬試験の成績表を用意します。
次に自分の志望校の偏差値を確認します。
そしてその数字を100から引きます。
この数字を「基準正答率」と名付けます。

例えば偏差値70の学校を志望するのであれば「基準正答率」は
100-70=30(%)
ですし、偏差値50ならば50%です。

ただし、この「100」というのは目安であり、通っている塾や、志望校によっては調整の余地があります。
指導者と相談して「基準正答率」を決めるのが確実でしょう。
要は「その学校を受けるならその正答率の問題までは正解しておきたい」というラインが「基準正答率」と考えてもらって結構です。

模試の結果を使用して表を作成するのですが、「基準正答率」を下回る正答率の問題は無視します。

残った問題につき
「できた」か「できなかった」、「わかった」か「わからなかった」で
〈表1〉に分類します。
ここで、
「わかった」+「できた」は(A1)
「わからなかった」+「できなかった」は(B2)
というように場所に名前をつけておきます。

〈表1〉

  できた(1) できなかった(2)
わかった
(A)
   
わからなかった
(B)
   

分類する際、付箋にその問題の分野を書き、該当する場所に貼っていきます。
すると〈表2〉のような表が完成します。

〈表2〉

  できた(1) できなかった(2)
わかった
(A)
計算
つるかめ算
消去算
旅人算
立体図形(体積)
論理・推理
計算(逆算)
規則性(植木算)
わからなかった
(B)
場合の数(順列) 平面図形(相似)

そして、この出来上がった表を写真に撮ります。
小学生の場合はお母さんのスマホで良いでしょう。
スマホで撮るメリットは日付が残ることと、一緒に持ち歩いていることです。

大切なのはここからで、この表を基に、弱点を潰していかなければなりません。
復習する順番は
①(A2)
②(B1)
③(B2)
です。
何となく(B2)からやらなければならないような気がしますが、(B2)を(A1)までもっていくにはかなりの労力が必要なので、リスクが伴います。
もしやるとしても指導者の下でやることをお勧めします。

この作業を模試(あるいはテスト)ごとに行い、全てが(A1)に入ることを目標に学習を進めます。
(A1)に入る分野が増えてきたら「基準正答率」を下げていくのも良いでしょう。
その際は指導者と相談してから決めるのが無難だと思います。

さて、「表」の話が長くなってしまいましたが、今回のメインは「表」だけではなく、「夏休みの前までにやっておくこと」です。

「夏休み」は「受験の天王山」ともいわれ、受験の戦略の上では大きなウェイトを占めます。
少なくとも「夏休み」が終わった時点で「基本」が完成していることが望ましいので、そこから逆算して今やることを決める必要があります。

繰り返しになりますがここで「基本」とは何かについて確認しておきます。
私は中学受験における「基本」は次のようなものであると考えています。

★ 志望校合格に必要な最低限の「知識」とそれを運用する「力」

ですから「基本」とは簡単なことではなく、受ける学校によって異なり、難関校ほど高度なものが求められるということです。

その「基本」を「夏休み」のうちに「完成」させてしまおうというわけですから、そんなに簡単なことではありません。
「基本の完成」は、ほぼ「合格レベルの学力」とも言い換えられますので。

今考えなければいけないのは、「夏休み」中に「基本」を完成させるための準備です。

ここで先ほど示した表を活かすことができます。全部(A1)にすれば良いのです。
これは「基本」のうちの前半部分、すなわち「志望校合格に必要な最低限の「知識」」が身についたことを意味します。
そうすると「夏休み」中はそれを「運用」することに集中できるので、「基本の完成」の目処が立ちます。

ただし、既に書いた優先順位がありますので、そこは丁寧にこなすようにしてください。
以下にそれぞれのゾーンごとの注意点を記します。

(A1)

基本的にはもうできている分野ですからやる必要度は低いです。
ただし、志望校の出題傾向によっては、応用問題を強化しておかなければならないケースもあるので、万全を期すならば指導者と相談して決めるべきでしょう。

(A2)

優先度1位です。
わかっているのに不正解というのは本来はあってはならないことです。
正解できなかった事実は真剣に受け止める必要があります。
そして本人が「次は同じ間違いを犯さない」という強い気持ちを持てるかどうかがポイントです。
また、「わかった」「わからなかった」は自己申告なので、「わかった」つもりで実は「わかってなかった」ということもありえます。
それをそのまま流してしまうのは最悪なので、やはり指導者がチェックしたほうが無難だと思います。
このゾーンは間違えた原因を明らかにし、その対策を施せば、次からは(A1)になる可能性が高いと思います。

(B1)

優先度2位です。
本来わかっていなければ正解できないはずですが、とりあえず正解したという、少し厄介なゾーンです。
例えば
「テストの直前に習った問題の数値替えの問題で式の意味はわからないけれど何となく覚えていた式を立てたら正解した」
とか、
「角度を求める問題で見た目が直角だったから90°と書いたら正解した」
といったケースが考えられます。
要するにこのゾーンは本質的には(B2)と変わりはないのですが、「正解」したという事実は尊重しなければならないと思います。
ですから
「今回正解したのは立派だった。次はなぜそうなるのかもわかった上で正解しよう。そうすればもっと難しい問題でも正解できるよ。」
というような、前向きな気持ちで取り組むのが良いと思います。

(B2)

(A2)(B1)を終えてから手をつけるゾーンです。
まずは「理解」が大切で、本当にわかっているかどうかの確認をしてから先に進む必要があります。
その確認方法ですが、受験生本人に説明してもらうのが一番確実です。
これをやると記憶の定着度も飛躍的に向上するので、家庭学習では特にお勧めになります。
このゾーンは「理解」だけでは足りず、「正解」できるレベルになるまで「問題演習」をしなければなりません。
「理論と実践」のようなものですね。
そして、ここが学習する上でのネックになります。
いざ解いてみると正解できないことが意外と多いのです。
そうなると時間はかけているのに全然正解できるようにならないということもあり得ます。
これは勉強時間はとっているのに成績が振るわない受験生に共通する現象だと思います。
結論から言うと「問題演習」の際の教材がフィットしていないのです。
ただこれを100%解消するにはオーダーメイドの教材を使うしかありませんからなかなか大変です。
既存の教材の取捨選択が現実的ですが、これはもう中学受験の専門家しかできないことだと思います。
このゾーンは(A1)まで持っていくには骨がおれるかもしれません。
指導者から的確な指示を仰ぐのが効率的だと言えるでしょう。

以下簡単なまとめです。

  • 「夏休みの前までにやっておくこと」は「苦手分野をなくすこと」が最も重要である。
  • そのためには今の自分の学力を客観的にとらえる必要がある。
    その際「基準正答率」を基にした表を作ると便利。
  • 表の(B2)を(A1)までもっていくのが目標となるが、その前提として(A2)、(B1)を先に片付けなければならない。

この表を使えばやるべきことは明確になります。
優先順位もはっきりしていますから後はやるだけです。
これを機会に「夏休みの前までにやっておくこと」を明確にし、効率よく学習しましょう。

今後も月に1、2回、【受験お役立ち情報】を発信していきたいと考えております。
どうぞご期待ください。

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プロフィール

プロフィール

執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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