VOL.89【受験生との歩み】 桜蔭編(2)

図形規則性


マンツーマンの授業というのは人が人に面と向かって教えるので、その関係性が重要だと考えられているでしょう。
当たり前ですが友好的な関係でなければ授業が成り立たないのが普通です。

今回紹介する浅野さん(仮名)との関係は友好的とは言えなかったかもしれません。
もしかしたら、浅野さん本人は私のことを敵視していた可能性すらありますが、受験としては成功したと思っています。

なぜそんなことが可能だったか振り返ってみます。

よく男子と女子で指導方法を変えるかどうかを尋ねられるのですが、「変えることもあれば変えないこともある。」と答えています。

ざっくりしたイメージで言うと男子に対しては「硬い」授業を目指しています。
男子トップ校に向けて全力でぶつかっていくような授業です。

これを変えるというのは「柔らかくする」ということです。
授業で扱う内容を少し易しめにするとか、説明を普段よりもかみ砕いて分かりやすくするとか、当たりそのものをソフトにする、といったことが考えられます。

男子の場合「硬い」授業で大丈夫です。
それは、「力」による序列が絶対だからです。
よくあるのが生徒が先生よりできると思ってしまい先生を馬鹿にするパターンですが、私はそれを許しません。
当たり前ですがキャリアが違うので、負けることはありません。

生徒の能力が高ければ高いほど、自分よりできる先生と出会ったときの効果は絶大です。
そこに師弟関係が生まれ、生徒が先生から吸収できるだけ吸収しようという姿勢になれば、指導は半分終わったようなものです。

これが女子になると話が変わってきます。
女子にとって、「力」による序列はあまり関係ないからです(私は男なのでこれは想像ですが)。

女子の場合はタイプによっては「柔らかく」して対応することもあります。
ただ、志望校がトップクラスの場合、私としてはいつも通りの「硬い」授業をしたいのです。

そして浅野さんです。
彼女がもし男子だったら、目一杯の「硬い」授業でうまくいったことでしょう。
能力が高いので、私のいつものやり方がうまくはまったはずです。

ところが現実は厳しいものでした。
初回が夏前だったと記憶していますが、授業を終えた後の態度が
「なぜ私があなたに教わらなければならないの?」
というものでした(これもあくまで私の想像ですが)。
これでは翌年の入試まで持ちそうもありません。
とりあえず自分のスタイルを捨て、まずは彼女に聞いてもらえる授業をこころがけました。

そもそも授業中に何をやるかで相当もめて、授業の前半は彼女のやりたいものをやり、残りの時間で私の用意したものをやるということで落ち着いたと記憶しています。

浅野さんは人の意見を素直に聞いてみるというスタンスではありませんでした(私の印象です)。
本当は一旦は聞いたほうが学習の効率が上がるのですが、彼女は自分を曲げませんでした。
それはそれで立派だと思いますが、教える側としてはよくないものには「ダメ出し」をしなければなりません。

ただ、普通に「ダメ出し」をしても効果がなかったので、それはやめて、「参考までに」とか「別解があるとすると」といった柔らかい表現でなんとか修正してもらえるよう働きかけました。
これで少しは受け入れてくれているような気がしました。

授業をやっていて、関心したことがあります。
浅野さんの質問に私が答えることが多かったのですが、解説を最後まで聞かないのです。
途中で遮ったと思うと猛スピードで自分で答を出していました。

私のほうで解説を中断して「答をだしてみて」ということはよくありますが、しょっちゅう生徒に遮られたというのは浅野さんだけです。
そして、そのタイミングもかなり早いことが多く、ほぼ自力で解けているレベルでした。

そうこうしているうちに冬になっていました。
この頃になると彼女のやりたいものも膨れ上がっており「塾の通常授業での質問」「模試の直し」「過去問の直し」と、とても週1回2時間の授業でこなせる量ではなくなっていました。
しかも、「模試の直し」「過去問の直し」では理科が増えてきました。

いつからどういういきさつでそうなったのか覚えていませんが1週間分のやったものが郵送されてくるようになりました。
ページ数にすると50ページ位はざらで、普通なら1回の授業ではできない量なのですが、私にも意地があります。
事前の準備をしっかり行い、ほぼ時間内に終わらせることができました。

これは浅野さんの理解する力が高かったから可能だったと考えられます。

結局最後までこのような状態が続き、いよいよ最終日を迎えました。
それまで浅野さんも一杯いっぱいだったのでしょう。
かなりきつい日々を過ごしたと後で聞きました。

授業が終わったところで、激励メッセージを書いてくれと頼まれました。
そのこと自体ちょっと意外だったのですが、私も「こういうのは苦手なんですよね」なんてことを言いながら例によって「必勝」(前回の吉田さんの真似です)と書きました。

この時のその場の空気がそれまで感じたことがなかったものでした。
いままで意地の張り合いでとげとげしていたものが一瞬にして丸く柔らかくなったのです。
そして、なぜそう思ったのかわかりませんが、彼女は合格すると確信しました。

合格の報告を本人から電話で聞くことができました。
その声から本当に精いっぱい頑張ったということがよくわかりました。

お互いが本当に真剣ならば、ぶつかり合うのも仕方がないし、それこそが本物なのかもしれません。

今振り返ると、浅野さんとの授業は数少ない「本物」の授業だったのだと思います。

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今週の1題図形の規則性

難易度★★★☆☆

〈図1〉は1辺が「3」の正六角形を1辺が「1」の正六角形(あ)7個と1辺が「1」の正三角形である(い)12個に分割した様子を表しています。

〈図2〉は1辺が「5」の正6角形を(あ)19個と(い)36個に分割した様子を表しています。

次の     に当てはまる数字を答えてください。

(1)1辺が「11」の正六角形は(あ) ① 個、(い) ② 個に分割されます。

(2)1辺が「1」の立方体を19×19×19個使い、大きな立方体を作りました。
この立方体の6つの辺の中点を通る平面で切断したとき、その切り口は正六角形になりました。
このとき、切り口に現れるいちばん小さな正三角形は ① 個です。
また、いちばん小さな正六角形の面積は1辺が「1」の正六角形の ② 倍です。

クリックすると
解答が表示されます
<答>(1)① 91 ② 180  (2)① 540 ② 135.5
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