VOL.83【受験生との歩み】 開成編(3)

点の移動立体図形


前回の前田君の塾のクラスは15クラス中上から6番目あたりでしたが、
今回お話する受験生の授業開始時のクラスは15クラス中下から7番目あたりでした。
(受験が終ってしばらくしてから成績表で確認してびっくりした記憶があります)

村上君(仮名)はもともとは塾では上のクラスにいたらしいのですが、ずるずると成績が下がり、これ以上下がるとどうしようもないというタイミングで名門会の門を叩いたということでした。

指導を始めるにあたって、ご両親に今後の指導方針を納得していただくのに苦労したことを覚えています。
「どうしても塾のクラスを元に戻したい」というご両親に対し、
私は「志望校対策を優先すべきでは」と主張しました。

理由として以下のものを挙げました。

  • 塾の成績はどんどん下がっている。それを止めるだけでなく、逆に上げていくには膨大なエネルギーが必要になる。
    そのエネルギーは志望校対策に使いたい。
  • 志望校(開成・栄光)は「思考力」重視と考えられるので、名門会の授業では「思考力」を伸ばすことに特化したい。
    それができるのが個別の強みである。
  • 今はあまり「ムード」が良くない。
    「塾」の勉強から離れることで、風向きを変えたい。

私の話はわかってもらえたようでしたが、すっきりしない感じも残っていました。
最初の何回かは授業内容についてかなり細かく聞かれました.。
その都度丁寧に内容を説明したので、帰るのがいつも遅くなったのを覚えています。
ある程度私の考え方は伝わったとは思うのですが、最終的にはお父さんが授業を見学しにいらっしゃいました。

授業を見ていただいて納得していただけたのだと思います。
その後の授業内容は全て任せていただくことができました。
今振り返れば、このあたりに合否の分かれ目があったのではないかと思います。
(任せてくれて本当にありがとうございました)

では、授業の内容を振り返ってみましょう。

授業で使用したのはオリジナルのプリントです。
色々な問題集からピックアップしたものを、A4サイズに1題ずつと、ちょっぴり贅沢なプリントでした。
これには理由があります。
実際の入試問題もかなり広いスペースに「考え方や式」を書かなければならないので、それに対応するために余白を十分にとるレイアウトにしました。

私もそうだったのですが、狭いところにごちゃごちゃと書いて結局間違える、あるいは何を書いてあるのかわからないので採点してもらえるレベルにはない、という受験生が結構います。
なので、普段から適正サイズで見やすく書く練習をしておかなければなりません。

その点、村上君は丁寧な字で書けていました。
グラフや図の書き方に専念できたので、効率よく授業を進めることができました。

授業の進め方は問題を1題づつ解いていくだけのシンプルなものでした。
村上君が問題を読み終わって手を動かし始めたあたりで私が板書を始めます。
私が板書を終えて村上君の書いた内容を確認してから解説を始めました。

正解していても、それだけで終わりにせず、「なぜそのような式になったのか」を答えてもらったり、別解はないか一緒に考えたりと、「会話」をするような授業をこころがけました。
塾のクラスが下がり自信を失いかけている村上君に前向きな気持ちを持ってもらうためには、自分の口から何かを発するということがとても大事だと考えたからです。

最初は遠慮がちだった村上君も徐々に自分の意見を言えるようになり、それと共に自信を取り戻しているように感じました。

また、全くわからないという問題もありましたが、その原因は「知識不足」にあると考えました。
授業の中でその「知識」を補うことはやりましたが、それだけでは限界があります。
そこで、解法や考え方がまとめられた問題集を「宿題」とし、それを毎日30~40分やってもらいました。

「宿題」に関してはほぼ本人任せで、たまに質問を受ける程度でした。
解法の幅が広がっていたので、きちんとやっていることはわかりました。
トップクラスの受験生は自己管理ができるので、授業に専念できる分、効率がよくなります。

しばらくすると村上君に大きな変化が現れました。
表情が明るくなったのです。
また、授業の内容が楽しいらしく、以前よりも集中力が増しました。

不思議なことにお母さんの表情も明るくなりました。
最初のころは緊張感が漂っていたものが、柔らかい空気に包まれているかのように変化しました。

この間、ご家庭で何があったのかはわかりませんが、本人が物凄く頑張ったであろうことは想像できます。

受験ではこの「ムード」が非常に大切で、過去に逆転合格に成功したご家庭はほぼ100%明るい「ムード」に包まれていました。
辛いことや苦しいことが沢山あるとは思いますがそういう時こそ「笑顔」が大切なんだと思います。

さて、「ムード」は最高とも言える村上君でしたが、肝心な学力はというと「ボーダーライン上」というのが正直なところでした。

また、「算数」1教科しかみていなかったので、他教科の仕上がり具合も気になっていました。

「算数」に関してはやれるだけのことはやったので、当日力を出し切ってくれれば何とかなると思ってはいました。

そして結果は・・・

「栄光」〇
「開成」〇

村上君がどうしても直接話したいとのことだったので電話をしたところ、
「先生のおかげで合格できました」
という言葉をもらうことができました。

村上君の合格のポイントは「本人の努力」ということに尽きるでしょう。
私がお手伝いできたのは「考えることの楽しさを思い出すことで本来の調子を取り戻すこと」だったと思います。

私としてもこのような逆転劇はめったにあるものではなく、今でも印象に残っています。
最後まで諦めない気持ちが大切なのですね。

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今週の1題立体図形・点の移動

難易度★★★☆☆

※村上君との初めての授業で取り組んだ開成の過去問から発想しました。

〈図1〉で直線ℓと直線mは垂直に交わっています。
m上の点P、Qを中心とする円①、円②は、それぞれ半径が10cm、OP=OQ=20cmです。
〈図1〉の状態から次の()~()の動きをそれぞれ一定の速さで行います。
ただし、円①と円②はぶつかることなく素通りできるものとして考えることにします。

)線分CDはℓを軸として〈図1〉の(あ)の方向から見て時計回りに毎秒4度の速さで回転する。
それに伴い、Pも移動するので、円①も中心がPで、C、Dを通る状態を保つように移動する。

)円①はCDを軸として〈図1〉の(い)の方向から見て時計回りに毎秒r度の速さで回転する。

)点Aは〈図1〉の位置から図の矢印の方向に1周s秒の速さで円周上を動く。

)線分EFはℓを軸として〈図1〉の(あ)の方向から見て、反時計回りに、毎秒t度の速さで回転する。
それに伴い、Qも移動するので、円②も中心がQでE、Fを通る状態を保つように移動する。

)円②はEFを軸として〈図1〉の(う)の方向から見て時計回りに毎秒u度の速さで回転する。

)点Bは〈図1〉の位置から図の矢印の方向に1周w秒の速さで円周上を動く。

〈図2〉は()~()の動きのイメージです。
以下の問いに答えてください。

)r=8、s=24、t=6、u=0.5、w=720のとき、
)~()の6つの動きが同時に始まってから、初めて〈図1〉と同じ状態(ぴったりと重なる状態)になるのは何秒後ですか。

)()~()の6つの動きが同時に始まってから20秒後に、点Aと点Bが同じ位置にありました。
tの最小値を求めてください。
また、そのときのrとuの最小値、さらにそのときのsとwの最大値を求めてください。

クリックすると
解答が表示されます
<答>(1)360秒後
   (2)t=2、r=4.5、u=4.5、s=34 2  7  、w=240
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